住宅リフォーム時に利用できる補助金制度とは?
住宅リフォームで利用できる補助金制度は様々なものがあります。
工事する内容によって補助金を利用できる種類や申し込み方法もそれぞれ異なります。
また、国が主導し全国で利用できるものから、市町村が独自に実施しているものまで様々なものがあります。
2021年に利用できる補助金制度一覧
補助金制度(リフォーム・改修) | 対象 | 補助金額 |
長期優良住宅化リフォーム補助金 | 戸建て住宅の改修 | 100~300万円/戸 |
次世代省エネ建材の実証支援事業 | 戸建て住宅の改修 | 最大300万円/戸 |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 戸建て住宅の改修 | 最大120万円/戸 |
介護保険によるリフォーム | 工事費用20万円以下 | 所得によって変わるが最大で9割補助 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業
既存の戸建て住宅や共同住宅をリフォームを対象に長寿命化や省エネ化等の性能向上し、子育て世帯向け改修に対して支援を行う事業です。
子育てしやすい生活環境の整備等を図ることが目的なので、事務所や店舗など住宅以外の建物は対象外となります。
主な概要と補助金内容
事業タイプ | 評価基準型 | 認定長期優良住宅型 | 高度省エネルギー型 |
対象工事費用と補助率 |
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補助金限度額 | 100万円 (150万円)/戸※1 |
200万円 (250万円)/戸※1 |
250万円 (300万円)/戸※1 |
※1( )内の補助限度額は「三世代同居対応改修工事を実施する」、「若者または子育て世帯が工事を実施する」、または「既存住宅の購入者が購入後1年以内に工事を実施する」場合を示す。
※三世代同居対応改修工事への補助額は50万円/戸が上限 |
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要件内容 | 住戸の規模:55㎡以上
(1つの階で40㎡以上) |
住戸の規模:原則75㎡以上(1つの階で40㎡以上) | |
評価基準に適合 (長期優良住宅(増改築)認定基準に準ずる基準) |
長期優良住宅(増改築)認定基準に適合 | 長期優良住宅(増改築)認定基準に適合
一次エネルギー消費量が省エネルギー基準比20%削減 |
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リフォーム工事前にインスペクション(有資格者による建物調査)を行い、リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること。 | |||
受付期間 | 受付は通年行っていますが、予算の状況によっては途中で終了することがあります。 | ||
工事期間 | 申請後に着工かつ、決められた期日までに工事を終えること。 |
この表は概要を示すものです。細かい要件や受付状況は以下のHPを参照してください。
若者・子育て世帯とは(以下共通)
若者:令和3年4月1日時点で40歳未満であること。
子育て世帯:令和3年4月1日又は交付申請時点で18歳未満の子を有する世帯。
既存住宅の購入者とは
自ら居住するための既存住宅を購入する方をいいます。(加算には、売買契約後1年以内に改修工事を実施する必要があります。)
次世代省エネ建材の実証支援事業
一戸建て住宅に高性能な建材を使って断熱改修する際に利用できる補助金で、主な概要は以下の通リです。
主な概要と補助金内容
断熱タイプ | 外張り断熱 | 内張り断熱 | |
対象住宅 | 戸建て住宅 | 戸建て住宅 | 集合住宅 |
既存住宅、専用住宅であること
賃貸住宅及び法人所有の住宅は補助対象外 |
既存住宅(新築、社宅、寮及び、業務用建築物(事務所、ホテル等)は補助対象外。)
専用住宅であること(集合住宅の場合、住戸部のみ) |
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補助金限度額 | 300万円/戸 | 200万円/戸 | 125万円/戸 |
補助率 | 補助対象経費の1/2以内 | ||
工事条件 | 外壁全てを外張り断熱工法にて改修し、原則、全ての開口部を改修する(※1)
工事完了後、効果測定を行う(1日間の気温測定) |
居室を断熱パネル、潜熱蓄熱建材のいずれかを用いて改修する | |
※1:8地域(沖縄県および他一部地域)は別に定めがあります。 | |||
対象製品 | 断熱材及び窓・玄関ドア等の開口部材・高効率換気システム・室内側から導入する「断熱パネル、潜熱蓄熱建材、内窓、調湿建材」(※2) | 断熱パネル、潜熱蓄熱建材、断熱材、防災ガラス窓、窓、玄関ドア、調湿建材(※2) | |
※2:本事業に登録されているもの 補助対象製品一覧 SII一般社団法人 環境共創イニシアチブ |
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対象経費 | 設計費、材料費、工事費 | 材料費、工事費(補助対象経費の合計は40万円/戸以上) | |
受付期間 | 公募開始から上限に達するまでの期間。先着順。 | ||
工事期間 | 申請後に着工かつ、決められた期日までに実績報告をすること。 |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
一戸建て住宅に高性能な建材を使って断熱改修をする際に利用できる補助金で、主な概要は以下の通リです。
主な概要と補助金内容
住宅区分 | 戸建て住宅 | 集合住宅 | |
個別改修 | 全体改修 | ||
申請者(補助対象者) | 個人の所有者又は個人の所有予定者 | 個人の所有者又は個人の所有予定者 | 管理組合の代表者 |
補助金限度額 | 120万円/戸 | 15万円/戸 | 15万円/戸 |
補助率 | 補助対象経費の1/3以内 | ||
補助対象製品 |
注:2.~4.の設備は、1.高性能建材の工事と同時に行う場合に限りの補助となります。(1.の補助金以下が補助額) |
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※1高性能建材は、次に登録された製品を使用。補助対象製品-公益財団法人北海道環境財団 補助事業部
※2家庭用蓄電システムは次に登録された製品を使用。蓄電システム登録済製品一覧-一社 環境共創イニシアチブ |
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受付期間 | 公募開始から上限に達するまでの期間。先着順。 | ||
工事期間 | 申請後に着工かつ、決められた期日までに実績報告をすること。 |
介護保険によるリフォームに対する補助金の制度について
介護保険は各市町村の保険料と補助金によって運営されている制度ではありますが、全国で同じように利用できます。
住宅対象条件 | 要支援、要介護と自治体から認定された人が住む住宅であること | |
申請条件 | ・ケアマネージャーや福祉住環境コーディネーター2級以上などの有資格者による「理由書」があること
・自治体によってはリフォーム工事プランの提出も必要 |
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補助金限度額 | 工事金額の7割~9割、上限20万円。
注:割合については所得に応じて変動します。 更に、健康状態の悪化や転居によって新たにリフォーム工事が必要になった場合、再び20万円を上限に申請できます。 |
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工事条件 |
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受付期間 | 随時。ただし着工前であること。 自治体によっては、月の最後の平日が締め切りになっている場合もあるため確認が必要。 |
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工事期間 | 特に指定なし | |
参考資料 | 福祉用具・住宅改修(参考資料)(厚生労働省) 介護保険における住宅改修実務解説(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター) 住宅改修事業所のアンケート結果(一般社団法人シルバーサービス振興会) |
リフォーム補助金を受取り時の注意点
対象となる工事を行っても必ずしも補助金をもらえるとは限りません。
申し込みのタイミングや時期によって受け取りができなくなることもあります。
利用するのであれば、以下の項目を注意して計画を進めるようにしましょう。
工事を始める前に申請が必要
申請するタイミングは一般的に工事前に行うのが一般的です。
先に工事を始めてしまうと補助金は受け取れません。
また、工事完了報告の期限が定められている場合もあります。
たとえ申請済みでも期限が過ぎて報告しても補助金は受け取れません。
申し込みと工事完了報告する期限を事前に確認し、リフォーム会社と調整するようにしましょう。
受付期限内でも予算を使い切ってしまった場合受付できない
補助金の額は、国や自治体がその年の予算で上限が決まります。
予算の上限に達してしまった場合、たとえ期限内でも申し込みの受付が終了となります。
特に人気がある補助金制度は予定していた期限よりも早く締め切ってしまうことがあります。
受付が始まったらできるだけ早めに申し込むようにしましょう。
補助金制度に詳しいリフォーム会社を選ぶ
リフォームで補助金をもらうためには、条件を満たした工事計画内容や申請による手続きを行う必要があります。
その為、補助金制度に詳しくないリフォーム会社を選んでしまった場合、申請手続きを間違ったり工事条件を満たさず補助金をもえらなくなる可能性があります。
申請手続きの代行に関する実績や制度に対してしっかりアドバイスができるリフォーム会社を選ぶようにしましょう。
リフォーム会社を紹介した記事はこちら ↓
リフォーム会社の比較でおすすめのサイト紹介と選定の決め手とは?
リフォーム計画前の注意点
リフォームとリノベーションは違いについて
最近よく聞くようになったリフォームとリノベーションという言葉ですが、違いがわからず同じ意味で使っている人も多いのではないでしょうか。
「リノベーション」と「リフォーム」の言葉の使い分けはとても曖昧で、明確な線引きはされにくくなってきています。
両者の違いについて以下の一覧表でまとめましたので、特徴を理解した上で計画や依頼する業者を選定後に中古物件の購入等を進めていくようにしましょう。
比較項目 | リフォーム | リノベーション |
使い分けの意味 | 老朽化した建物を新築の状態に回復することをいいます。
マンションやアパートの場合には、入居者が退居した後、その入居者の住む前の状態に戻すともいわれてたりしています。 |
大規模な工事を行うことで、既存の建物に住まいの性能を新築の状態よりも向上させ、資産価値を高めたりすることをいいます。
新しい機能や価値を向上させることを表しており、住まいを耐震性の高いものに改良したり、住環境をバリアフリーに合わせて間取りや仕上げなどを変更したりすることなどが含まれます。 |
工事の規模 | 設備の変更や修繕や壁紙の貼り替え程度等比較的小規模な工事 | 間取り、水道管、排水管、冷暖房換気設備の変更など大規模な工事 |
住まいの性能 | 新築の時と同等の性能になる工事。
例えば、外装の塗り直しや、キッチンの設備の変更、壁紙の張り替えなど |
新築の時以上の性能になる工事。
例えば住宅に店舗スペースを設けたり、事務所を住宅用に改修する等、用途の変更が伴う改修工事や省エネ、耐震設計などお住まいの性能を向上させる改修など |
メリット | ① 工事費用を安く抑えらえる
② 工事期間が短い ③ 完成後の住まいをイメージしやすい |
① 工事費用が高くなりがち
②物件の選択肢が豊富 ③物件の資産価値が高まる ④うまく利用出来れば新築を立てるよりお得 |
デメリット | ① 自由な間取り変更ができない
② 住宅の強度・劣化などの状態確認はおこなえない |
① 工事費用が高くなりがち
② 工事期間が長い ③ 解体して初めてわかる想定外 ④ 間取りの変更ができない物件もあるので注意 ⑤ 築26年以上の中古マンション購入は、住宅ローン減税が受けられない |
物件選択 | 少ない | 多い |
工事範囲によっては引越しが必要なることがある。
リフォーム工事で仮住まいを必要とする工事があります。
例えば、部屋の間仕切りを取替計画で居住スペースが工事期間中使用できない状態と判断された場合などがあげられます。
工事範囲や作業日数によって引っ越しが必要なのか判断が異なります。
また、外壁の塗装など外部のみの工事であれば引っ越し費用は必要ないということもあります。
プラン計画の段階でリフォーム会社に確認するようにしましょう。
解体して初めてわかる想定外
解体して構造躯体に戻した状態から工事をはじめるリノベーションですが、購入時にはわからなかった問題点が、解体したことで発覚する場合があります。
例えば、柱や配管が劣化していたり、ひび割れていたり、当初予定していた水回りの配置変更が、解体後の構造状況によってできなくなるとこともあります。
計画変更や追加の補修費用など、予想外に対する予備費が必要です。
またマンションの構造には鉄筋コンクリート造(RC造)を採用されることが多く、構造形式によって一部間取り変更ができない建物があります。
RC造は建物を構造壁で支える壁式構造と、建物を柱で支えるラーメン構造があり、壁式構造では室内の壁を撤去した間取り変更できないことがあるので注意が必要です。
築26年以上の中古マンション購入は、住宅ローン減税が適用されない
住宅ローン減税の適用するには、条件が設定されております。
①床面積が50㎡以上で自ら居住すること。
②マンションの場合は築25年以内、木造住宅は築20年以内などです。
減税制度の利用を考えている人は、制度内容を確認して購入物件を検討しましょう。
既存建物の図面や確認申請書が保管されているか
中古物件で購入する既存建物の築年数が古い建物であればあるほど、既存図面や確認申請書等が保管されていないことが殆どです。
既存図面の有ると、あらかじめリフォーム工事内容や作業期間が正確に決まり、計画もしやすくなります。
また、増築ということであれば、既存建物の確認申請書が必要になってきます。
基本的には住宅完成引き渡し時に、設計施工会社から図面や確認申請書も一緒に依頼主に渡されます。
計画前に保管状態や既存建物計画に携わった会社など訪ねてみて確認するようにしましょう。
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