マンションリフォーム工事費用の相場
マンションのリフォーム工事は購入時に取り交わす「管理規約」によって工事できる範囲に制限があります。
管理規約とは、工事可能な日程調整についての決め事や使用材料・工法など細かく定められていることがあります。
工事内容記載した書類の提出を管理組合申請し、審査が降りないと工事ができないことが殆どです。
管理規約と申請に関してはよく読んでおく必要があります。
工事可能範囲について
「管理規約」の記載内容によりますが、一般的に工事可能な範囲は以下の項目が挙げられます。
1.室内の床・壁・天井の仕上げ材の張替え。
2.浴室やトイレ・キッチンの交換(設備配管や電気のアンペア数変更は確認が必要)
3.建物の構造躯体に該当しない、間仕切り壁や内部ドア・窓の位置やレイアウト変更
リフォーム工事費用の相場
冒頭で説明しました項目1~3.の工事にかかる費用は改修(リフォーム)する規模によって異なり、主に以下の3つの改修方法に分類されます。
リフォーム工事種別 | 改修内容 | 改修工事費用(目安) |
全面改修工事 | 全体のレイアウトや、仕上げ・設備交換にかかる工事。 | 600~1500万円 |
部分的な改築工事 | 部屋の部分的な間仕切り壁移動や室内仕上げの模様替え。 | 200~400万円 |
改装又は設備交換などの工事 | 浴室やトイレ・キッチンなどの製品の取り換え又は変更に掛かる工事。 | 100~300万円 |
このように、工事を行う規模によって費用は異なる為、事前に依頼する業者選定と管理規約の記載項目について確認することは重要です。
リフォーム資金の相場は、国土交通省 住宅局の調査(令和元年度住宅市場動向調査報告書)によると「平均178万円」という結果であった。
殆どのマンションリフォームは、「部分的な改築工事」若しくは「改装又は設備交換」などの小規模な工事で済ませる方が多いと思われます。
マンションリフォーム計画前の注意点
マンションをリフォーム計画をスムーズに進める為には以下の8つの項目がポイントとなります。
マンション購入タイプか一戸建ての持ち家か?
一戸建て住宅であれば建物を個人で管理しているので予算さえ決まれば自由にリフォーム範囲を調整することができます。
しかし、マンションの場合建物1棟に所有者が複数人いる為、管理組合か管理会社を通じて工事内容について説明・確認を「普通決議」又は「特別決議」により承諾を得なければ工事を行えないことになっています。
「普通決議」の場合、総会又は集会の会議は議決権の半数以上の出席で、出席者の過半数で決するとなっています。
「特別決議」の場合は、より重要な案件を決議するためのものであり4分3以上の区分所有者出席でかつ、議決権の4分の3以上の賛成が必要になります。
また建替えの決議は、5分の4以上の賛成が必要になります。
これらの決議の承諾を得られない限り大規模な変更は難しく、リフォーム計画が実現できない可能性もあります。
また殆どのマンションの管理規約では、ベランダ・窓・玄関ドアなどの共用部分はリフォームすること自体できないことがあり、建物全体に影響がある柱や梁などの構造体変更も禁じられています。
マンション購入されている方はいリフォーム前にあらかじめ、管理規約と申請(約1ヶ月ほどで降りるのが一般的)などについて確認調整する必要があります。
リフォームできる範囲を見極める
住宅は建物の構造(木造、鉄骨造など)によってリフォームできる範囲や施工方法が異なります。
特にマンションですと大規模な変更は決議や管理規約により難しいため、計画が実現できない可能性もあります。
リフォームの計画を実際に立てる前に、建物自体を確認して、柱・梁、壁や床の構造を調べておく必要があります。
リフォームの範囲を見極める判断項目 |
1.新築購入時に売り主から引渡しされた、設計図書にある工事図面で建物の構造形式を確認する。 |
2.管理規約書類に記載されている工事可能な項目。 |
3.工事図面と現場の間取り・排水管の位置や電気配線の設置位置など整合性を床下点検口若しくは天井点検口などから目視で確認する。 |
4.図面と工事写真を見比べて現場との整合性を確認する。 |
5.IHクッキングヒーターに変更する場合、電気の契約アンペア数を増やすことができるか管理契約書などで確認する。 |
6.床下の排水管が下の階の天井裏から通る配管経路であった場合位置変更ができない為、事前に図面や点検口などで確認する。 |
上記1~6.の項目をそれぞれ確認し、工事範囲を見極め予算を決める方法が一般的です。
確認に自信が無い方は計画を依頼する業者を決め現地調査をしていただく方法もあります。
そうすることで事前に計画を立てやすくリフォームの予算も組みやすくなります。
※補足説明
マンションの構造は一戸建て住宅とは違い、建物規模が大きい為法的制限より「鉄筋コンクリート造」の場合が殆どです。
鉄筋コンクリート造は、「柱・梁が無く壁で全て支えている壁式構造」と「広い空間を確保する為、柱と梁で支えているラーメン構造」の二種類に分類されています。
壁式構造の場合、壁の移動や開口など制限がある為工事可能な範囲にも制限がかかります。
事前に図面や現場の状況を検証し確認を行いましょう。
新築購入時の設計図書は保管しているか?
実際にリフォームの計画するには、構造を調べる確認方法の1つとして新築購入時またはマンション購入時に頂いた「設計図書」を保管しているかどうかによってリフォーム計画に影響します。
設計図書とは、見積要項書、現場説明書、質問回答書、特記仕様書、設計図、標準仕様書など建築物の工事用図面のことをいいます。
設計図書があれば水回りの配管や電気配線経路がわかる設備図面や、建物構造材や内装材の仕上げが事前に確認できる為、リフォーム計画が立てやすいメリットがあります。
設計図書をお持ちでない方は建築当時(新築購入)に携わった業者か依頼した設計事務所から取り寄せることが可能ですが、15年以上経過していると法的に保管義務はなくなるので処分している場合があります。
既存建物の設計図書を保管していない方はもしくは取り寄せ出来なかった場合、専門業者が直接現地調査を行なった後、計画をすることになります。
設計図書について詳しく説明した記事はこちら ↓
予算の上限を決めておく
自宅をリフォームするときは、最初に予算を決めておかなければいけません。
簡単な工事でも、計画をしている内にあれもこれもと理想が出て追加工事が増えるものです。
理想を求めた結果、見積額を出したら支払えない額になって、もう一度やり直しというケースは意外と多いので、予算の上限をしっかり決めておくことが重要です。
初めに上限を決めておけば優先順位が把握でき、必要ないところまでリフォームをしてしまうという事態を避けらるので、要点を絞った箇所だけにスケジュールを立てられるのです。
ローンの審査や利用について説明記事はこちら↓
リフォームローンの審査と控除を受ける時の注意点とは?
良いプランナーを見つけリフォームの優先順位をつける
リフォームの計画を立てるのはあなた自身ですが、リフォームについて専門的な知識はおそらく持ち合わせていないと思います。
頭の中でイメージを膨らませることはできても、それを実現させるための計画は難しいでしょう。
それをプランナーは依頼主の希望を聞いて具体的なイメージに近づけ、実現可能な計画を図面に落とし込みするのが住宅プランナーです。
あなたがイメージするリフォームを得意とするプランナーの存在が必要です。
多くのプランナーは過去に手がけた物件例を資料を持っているはずです。
事前に資料を提出してもらうか、プランナーのウェブページを確認し探しておきましょう。
以下のサイトは「全国対応リフォーム工事費用を無料一括見積り」をサービスしてくれるサイトです。
全国1500社から依頼主様に合った会社をピックアップし紹介や見積提出まで無料で行ってくれるので忙しい方にはお勧めのサイトです。
「なるべく安い業者を選びたいまたは工事が複雑でリフォーム自体難しいかも」と不安に感じている方も相談することで可能な場合がありますので、ぜひ活用してみてください。
↓
水回り等取替えたい商品があれば資料収集やショールームに行き確認をする
リフォーム前と後とのギャップを避けるには、施工前に実際の製品を見ておくことが大切です。
キッチンにしてもシステムバスにしても、最初はカタログを見てから検討しますが、大きさや色などがイメージと違うことがあります。
いったん発注してしまうと変更はできませんので、決定するときには必ずショールームで実際に見て確認しておくのは、とても大事です。
後になって後悔するケースもあるので注意してください。
将来のことを考慮された計画が望ましい。
希望通りのリフォームができたとしても、それが数年先でも満足できるとは限りません。
数十年後、何年後かにはお子様が独立されたり、自分たちも高齢を迎えて体力が衰えた場合に廊下に手すりがついていたり、床材がノンスリップ素材だったりということまで考えられているでしょうか。
現在の生活だけでなく、バリアフリー仕様にするなど数年後の将来について想定しておき、先を見据えたリフォームを計画しておくことも大切です。
近隣住民に配慮する
リフォームが大規模になるほど工事は長引きますし騒音だって増えてきたり、業者が大勢出入りするため、安全面での不安を与えてしまうかもしれません。
思わぬトラブルを避けるためにも、近隣住民への配慮は最も重要です。
実際にリフォームをするときからで良いと思うかもしれませんが、計画段階からあらかじめ済ませておいたほうが無難です。
どこに挨拶回りをしたほうがよいかは搬入経路・トラックの駐車位置などを考慮し、どの住民さんにあいさつまわるべきかを経験上、把握しているリフォーム会社(工務店や建設会社など)に聞いた方が間違いないと思います。
マンションの場合は、上下階と、同じ階の左右の住民さんや管理組合にも忘れずにあいさつに回ってください。
まとめ
押さえてほしいポイント
・マンションリフォームの場合事前に管理規約と申請期間について調整しておく。
・工事範囲の優先順位と予算の上限を決める。
・新築購入時の設計図書を保管されているか確認し、建物構造を把握して工事範囲を見極める。
・良いプランナーを見つけ、リフォームの優先順位をつける。
・バリアフリーなども検討し将来を見据えた計画をしておくのが望ましい。
・工事前に近隣住民とのトラブルを避ける対策を考えておく。
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