防音室を作り方と費用の相場
防音室とは?
自宅の部屋で、カラオケやピアノ・ドラムなどの練習、その他習い事をしたい場合、周りの住宅に音がもれ近隣住民の迷惑になってしまいます。
防音室とは、このような部屋の用途として利用する場合に、部屋の内部仕上げやドア・窓の取り換えや床の補強などの工事をすることによって外部や内部に音が漏れない対策をした部屋のことをいいます。
リフォーム時1室当たりの費用の相場
楽器の練習する時間帯や利用方法など依頼主の要望、一戸建て住宅の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)によって費用は変わりますが、1室当たりの施工費用の相場は以下の通りです。
防音室の種類
室の用途 | 必要防音性能(Dr) | 施工費用
(木造・鉄骨造) |
施工費用
(鉄筋コンクリート造) |
オーディオルーム/ホームシアター | Dr-60 | 150~300万円 | 100~250万円 |
ピアノ練習用 | Dr-45 | 100~400万円 | 50~350万円 |
ドラムの練習用 | Dr-65 | 200~550万円 | 150~500万円 |
組み立て式防音ユニット/ボックス | Dr-45 | 56~300万円 | 56~300万円 |
鉄筋コンクリート造は木造・鉄骨造に比べて部材の強度や防音性に優れています。
ピアノなど重量が重いものでも補強無しで耐えられることや、防音材のグレードの調整など選定が可能な為、木造・鉄骨造に比べて50万円程度安くできます。
新築時1室当たりの費用の相場
室の用途 | 必要防音性能(Dr) | 施工費用 (木造・鉄骨造) |
施工費用 (鉄筋コンクリート造) |
オーディオルーム/ホームシアター | Dr-60 | 50~200万円 | 50~150万円 |
ピアノ練習用 | Dr-45 | 50~200万円 | 100~150万円 |
ドラムの練習用 | Dr-60 | 100~250万円 | 150~200万円 |
組み立て式防音ユニット/ボックス | Dr-45 | 56~300万円 | 56~300万円 |
新築で建てる場合リフォーム工事と比べて、設計計画時にあらかじめ床の補強、防音性能の高い壁・天井仕上げを選定することができます。
内装工事の施工費と補強が必要であった場合の撤去・復旧作業費が掛からない為、費用はリフォームより安くなります。
防音性能(Dr)の評価について
以下の騒音レベルに関する表は、環境省や各自治体が独自に調査した結果を参考にまとめたものです。
あくまでも目安程度として考えてください。
騒音レベル(㏈) | 代表的な音 | 人間の感じ方 |
130㏈ | 飛行機のエンジン音 | 耳が痛くなる |
100㏈ | 電車のガード下・ドラムの音 | 非常にやかましい |
90㏈ | ピアノ・バイオリン・歌声 | 怒鳴り声 |
80㏈ | 交通量の多い道路 | 電話が聞こえない |
60㏈ | ギターの演奏音、テレビ | 普通の会話 |
50㏈ | エアコンの室外機 | 静かだか夜の睡眠は妨げられる |
40㏈ | 図書館の中 | 静か |
用途 | 防音性能(Dr) |
一般家屋の遮音性能 | Dr-25 |
防音室内の歌声が外でもうるさく感じる | Dr-35 |
防音室外まで歌声と歌詞も聞き取れ、ドラムなどの音は近所迷惑として感じる | Dr-40 |
家屋の外までピアノや楽器などの演奏または歌声は聞こえない | Dr-45 |
防音性能は高いが、ドラムの音は外でも聞こえる | Dr-50 |
歌声や楽器音はほぼ外部には漏れない(ドラムを使用できるレベル) | Dr-60 |
声量が高い歌手が大声で叫んでも外部に漏れない | Dr-65 |
上記の表を基にした計算例
騒音レベルが(90㏈)- 防音性能(Dr-45)=45㏈
防音対策を施工した結果、45㏈(エアコンの室外機の音と同じ)まで下がるという考えとなります。
防音・遮音・吸音の違いとは?
そのぞれの意味は以下の通りです。
防音とは、室内から外部に音漏れや外からの騒音を防ぐこと。
Dr=防音性能を示し、この値が高いほど防音効果がある。
遮音とは、室内外の音漏れを遮断すること。
D値/Dr値=D値は日本建築学会でDr値はJIS規格で呼ばれている名称で、どちらも同じ意味でこの数値が高い程遮音性能が高い。
L値=床に衝撃が伝わった時に発生する音を表す数値のことで、数値が小さい程、遮音性能(下階に音が伝わりにくい)に優れており、測定される値は主に以下の2つに分類される。
- 軽い物を落とした時に生じる=軽量衝撃音(LL)
- 人が走り回った時に生じる=重量衝撃音(LH)LH
吸音とは、音を吸収して反響を抑える効果と外へ漏れるのを防ぐこと。
N値/NC値=室内騒音の大きさを示す値で数値が小さい程、静かになるということです。
室内で楽器や歌など練習する場合、音が壁や天井を反響し、無くなるばでの時間を残響時間といいます。
壁や天井の仕上げ材を吸音材にすることで音を吸収し、残響時間が短くする効果があります。
これらの方法で残響時間を調整し、歌や楽器など練習しやすい環境を作ることが防音室を作るポイントです。
自分で組み立て可能な簡易式防音ユニットの商品紹介
組み立て式防音ユニット/ボックスは、組み立て式の防音性能に対応したユニットタイプの部屋のことです。
以下の商品にように部屋の大きさによって金額が異なります。
手頃な商品を購入し、簡易に組立てや設置することができますので施工業者に依頼せず自分でセットしたい人はお勧めです。
ただし、ユニットボックスの重量については床の補強が必要な場合がありますので、新築時に携わった業者に確認してから設置するようにしましょう。
また安いタイプのユニットの場合、防音性能が低い為使用用途を考えて選択するようにしましょう。
ユニットタイプの防音室は部屋の中に設置する場合が多い為、防音室から漏れた音は一般家屋が持つDr-25(25㏈程度の遮音)内に納まれば家屋外部までもれないことがあります。
例えば、楽器や演奏で発生する騒音が90㏈としたら、防音室ユニットの防音性能がDr-40とした場合
90㏈ ー 40㏈ ー 25㏈(一般家屋が持つ遮音性能)= 25㏈(家屋外部に漏れる音)という結果となり、騒音レベルとしては、図書館の中よりは静かとして判断できます。
費用を最小限に抑えたい人はユニットタイプ設置する方法も一つの判断基準として考えても良いと思います。
施工業者に防音室依頼する場合の注意点とは?
リフォーム工事計画前の注意点
マンションをリフォームする場合、売買契約時に管理規約について説明と書面での引渡しがあったと思われます。
管理規約には、他の所有者との過半以上の賛成を得られなければリフォーム工事ができない場合がありますので計画前に必ず確認しましょう。
また窓などの共用部に二重窓を設置ができないこともあり、防音性の低い仕上がりになることもあります。
依頼する業者によっては完成後の遮音性能を満たしていない場合に適用される、「遮音性能保証」を用意していることろもあります。
防音室を作るためには以下の施工を行う必要があります。
施工部位 | 施工内容 |
床 | ピアノや楽器などの重量物でも耐えられる床にするための補強 |
床下に防音材を入れる。 | |
壁 | 壁下地に「吸音シート」や「遮音シート」をいれる。 |
天井 | 音が反響しないように吸音材に取り換える |
開口部 | 窓を「内窓(二重窓)」や防音ガラスに交換する。
ドアの場合は、隙間を密閉できる防音ドアに交換。 |
上記の室内の仕上げ材や開口部を交換し防音工事を行うことで防音室は作られますが、冒頭で説明した「防音・遮音・吸音」について詳しく把握し設計をするスキルが必要です。
楽器の種類や室の使用用途によっても仕上げ材の選定が異なります。
設計・施工共に専門知識を持った業者探しが大切です。
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