注文住宅の契約までの流れ
注文住宅の契約は、建売住宅や新築マンションなどの購入とは異なります。
契約するタイミングを間違えてしまうと、以下のような失敗例が挙げられます。
・契約後に自分が希望した家づくりに対応できない施工会社だったので解約した。
・すでに契約してしまった為、他の施工会社と間取りと見積り比較や交渉ができなかった。
・契約後追加工事費用がかかり、予算調整の為家の水回り設備のグレードを落とした。
このような失敗がないようにする為には、契約する前に準備や確認・交渉方法など依頼主自身ができるようにしなければいけません。
これから注文住宅の契約の流れから失敗しない為の注意点について詳しく解説していきます。
施工会社の選定から契約までの全体スケジュール
上図で紹介したスケジュール期間は、一般的にかかる目安です。
施工会社を3~4社見積りや間取りプランを検討した結果、希望に沿った住宅が建てられそうにない場合は再度他の施工会社を探して検討する方もいます。
また、土地から購入する方の場合は気に入った物件や条件が見つからず、検討する期間が延びることもあるなど個人差があります。
特に注意してほしいポイントは本契約よりも前に行われる仮契約(申込みと呼ばれることもある。)です。
たとえ「仮契約」でも申込金の支払いや書類にサインや捺印をした時点で契約行為にあたるからです。
この申込金は請負契約の前金として支払うことになりますので、仮契約を行った段階で他の施工会社とは比較検討できなくなります。
仮契約を行った後に「どうしても他の施工会社に変更したい。」ということであれば、解約をする必要があります。
その場合は、依頼主の都合で解約する行為に当たる為、申込金が返却されないこともあります。
仮契約後~本契約の期間は契約した施工会社と共に間取りプランや設備・仕様についての詳細を確定させるようにすることが重要です。
本契約後の変更は、設計図面が完了し工事金額も確定している段階な為、変更できる範囲も限られていることから追加料金が発生します。
「契約後も変更は可能ですよ」と施工会社側から言われた場合、その変更は基本的に「契約内容の変更で追加料金を依頼主側で負担してくれるなら対応できます」という意味です。
このことを十分に認識した上で計画を進めていくようにしましょう。
ハウスメーカーを紹介や見積を比較について解説した記事はこちら
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注文住宅の見積書チェックポイントと費用を抑える為の交渉とは?
本契約時は、設計図面一式・見積書を最終確認が完了し「工事請負契約書」を締結する段階です。
この時に支払う契約金は建築費の約10%ですが、施工会社によって異なりますので事前に確認しておきましょう。
本契約後に行う「建築確認申請」とは計画する建築物が建築基準法に適合しているのか役所に確認してもらうための申請です。
役所に提出し法的審査確認後、合格した証として「建築確認済証」が交付されます。
この建築確認済証が交付されないと工事を始めることはできないので、スケジュール調整には気を付けてください。
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契約前にやっておくべき7つの条件
マイホーム計画を成功させるために、契約前にやることがあります。
先ほど、情報収集から仮契約・本契約までの全体スケジュールについて解説してきましたが、それぞれ段階ごとにやっておくべきことがあります。
やっておくことで成功に近づくメリットと理由について説明してきますので参考にしてみてください。
仮契約前までにやっておくこと
注文住宅を建てる場合、土地と建築それぞれ「本契約」を結ぶ必要があります。
その前段階の「仮契約」でも実際は契約解除する場合、違約金が発生することがあり一度契約を結んでしまうと後戻りが難しくなります。
施工会社と仮契約をする前に以下の項目を細かく確認するようにしましょう。
住みたい場所や予算を決めてから暮らしの希望を整理する。
注文住宅の最大の魅力は自由に家づくりができることです。
特に土地探しから始める場合は、「住みたい場所」や「購入費用に充てる予算がいくらまで出せるのか」明確にしておくと具体的にしやすくなります。
例えば、「どのエリアで○○区、○○市内など広い範囲の中で駅や学校までの距離など交通的な利便性やその地域の支援援助・治安性」など妥協できないところをリストアップします。
また、その土地の相場価格や建設費用にかかる相場を把握した上で、自分が購入予算として支払える金額であるのか確認しておくと検討する時間を省くことができます。
これらの要望やリストアップの整理が決まった段階で、住宅雑誌や施工会社の情報収集+間取りや設備の仕様などの知識を付けてさらにイメージを具体的しておきましょう。
土地や施工会社を最も効率的に探す方法としてインターネットを活用し物件情報を下見することが一般的です。
殆どの方はスーモやアットホームを活用すると思われますが、そのサービスではカタログまでしか情報収集することができません。
注文住宅を計画している方にお勧めは、全国600社の施工会社の中から無料で間取り作成と見積りを提供してくれる「 タウンライフ家づくり 」というサイトがあります。
自分が希望した家の間取り図作成から建設費用にかかる見積りまで複数社選ぶことが可能なので条件整理が決まった段階で活用しておくと時間と労力が大幅に削減することができます。
土地の調査結果に合わせた間取りと見積書であるのか確認する。
敷地の形状や周囲の環境からの土地条件によって建てられる家の間取りや工事費用が異なります。
工事費用や間取りが変わる事例は以下の通リです。
・計画する土地の地盤面と周囲の地盤との高低差が2m以上あった為、土留めの為に擁壁工事が必要となり100万円程度追加費用を負担することになった。
・計画する土地の地盤が軟弱であった為、地盤を補強する工事費用が追加となった。
・希望した間取りプランが土地の形状や想定した広さと違い、建物が配置できずプランを大幅に変更することになった。
このようなことが実際に起こることがありますので、仮契約する前に建築プランと見積りは土地の敷地調査結果に基に提案されたものを確認するようにしましょう。
敷地調査で、土地の境界や広さを確定する為の資料有無(地籍測量図又は確定測量図など)や現地調査を行い建築基準法による建築制限など検討したプランを作成依頼ができます。
比較候補としてリストアップした施工会社又は土地購入の仲介担当者(不動産会社側)に敷地調査依頼して行っておくとよいでしょう。
敷地調査は、施工会社によって有料の場合がありますので事前に確認するようにしましょう。
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最終的に1社に絞る為には間取りプランや設備・仕様などの要望を具体的に伝える。
1社に絞る為には、住みたいイメージが反映された間取りやキッチンやユニットバスなど設備のグレードについて施工会社に正確に伝えることが重要です。
また、建物の性能にかかわる仕様のグレードや土地の形状や条件もしっかり検討した間取り図を作成されているものなのか見極めることも大切です。
その為には、家を建てる土地の候補が決まり調査できる段階まで進めているようにしておくことが望ましいです。
この段階で自分が希望する間取りや仕様などグレードがしっかり取り入れた完成度が高い設計図や見積書であれば、契約後の追加工事又は設計費用請求を防ぐことができます。
施工会社からの提案プランが大雑把で完成度が高くない場合は、再度プラン修正を依頼することも検討しましょう。
複数社の施工業者を比較検討した後、「希望に沿った家が予算内で建ててもらえる」と確信した会社と仮契約を結ぶようにしましょう。
見積書は本体価格+その他オプション費用を含めた総額で提案してもらう。
施工会社によって見積の形式は異なります。
細かい見積詳細を比較するのではなく、「総額とそれに含まれる費用」という観点で比較検討を行う必要があります。
見積書は依頼主が何も指定されない場合施工会社の標準仕様価格で出されることが一般的で、仮契約後に希望をすべて組み込んだら大幅に金額がUPすることがあります。
比較検討用に見積書を出してもらう際は、本体工事の費用+希望の設備や仕様を含めた総額で出してもらうようにしましょう。
一度の見積りで完成度の高い内容にしてもらう為には、必ず設置したい設備や仕様の価格を事前に調査して施工会社に渡して総予算に組み込んでもらうようにするのが効果的です。
参考例は以下の通リです。
・システムキッチンやユニットバスなどの仕様やグレードを確定する為に事前に気に入ったメーカーのショールームへ直接行って相談し個人でも見積りを出してもらう。
・見積書の総額に、エアコンの費用を含めていない場合がありますので、同条件で比較する為にエアコン設備費用を含めた見積書を出してもらうようお願いしましょう。
仕様や設備はグレードを確定かつ間取りもほぼ確定している段階まで持っていく。
システムキッチンやユニットバスなどの水回り設備はグレードやメーカー品番によって寸法・価格が違い間取りにも影響します。
仮契約する前にある程度、設備のグレードや寸法は確定しておきメーカーは同等品という形で決めておくと間取りの変更はほぼ確定しているレベルまで持っていけます。
間取りの変更がなければ、建設費用が大幅に変わることもありませんので、契約後の追加費用もかからないメリットがあります。
本契約前までにやっておくこと
仮契約後は、ある程度決めた間取り図をさらに細かく設計や仕様について打ち合わせをして工事が着工できるレベルの図面を仕上げていく作業に入っている段階です。
本契約までに以下の項目をやっておくと、施工会社との設計変更や追加費用についてのトラブルを未然に防ぐメリットがあります。
本契約前までに土地の地盤調査を行う
建物を支える為の基礎工事を確定する為には、土地の地盤調査を行う必要があります。
土地の地盤状況は建てる場所によって異なる為、調査した結果を基に基礎工事を検討するのが一般的です。
例えば、土地の地盤が良質地盤ではなく軟弱地盤であった場合、建物が沈下しないよう地盤を補強する工事が必要になることがあります。
その補強工事にかかる費用が100万円以上かかることもありますので本契約前に必ず確認しておきましょう。
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住宅基礎の種類と選定が正しく行われているか確認する方法とは?
間取りや設備・仕様はすべて確定させる。
本契約後に間取りや設備・仕様が依頼主より変更があった場合、価格や家が出来上がるまでのスケジュールが大幅に変更する可能性が極めて高いです。
価格やスケジュールが変更理由として以下の項目が挙げられます。
・設計図面の全体がやり直しとなり修正するのに作業時間と人件費がかかる。
・修正にかかる作業時間分、設計期間が延長になる。
・間取りや設備・仕様が変わると材料の価格や施工費用にも影響する為、追加費用がかかる。
このように施工会社にとって大きな負担になることから高額な費用を請求されることがあります。
また、仮契約時までに打合せした時間と労力もすべて無駄になります。
逆に「詳細は契約後に詰めていきましょう」など担当者から言われた場合、契約後に変更ができないまま妥協した家づくりになってしまうことがあります。
たとえ契約を急がされても、自分が納得するまで検討してから契約するようにしましょう。
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