建物構造の種類と相場価格
家の建築設計において、建物の構造に使用する材料の選択は重要です。
戸建て住宅に主に使用されている代表例として、以下の3つの工法が挙げられます。
・木造(W造)
・鉄骨造(S造)
・鉄筋コンクリート(RC造)
選定する構造によって住居の間取りや建築材料・工事費、耐用年数などが決まります。
これらの構造にはそれぞれメリット・デメリットがありますので購入前にしっかり理解しておきましょう。
建物構造坪単価当りの相場価格
坪単価当りの工事相場価格は、以下の通りです。
木造(万円/坪) | 鉄骨造(万円/坪) | 鉄筋コンクリート造(万円/坪) | |
全国平均 | 52.2 | 59.6 | 79.4 |
※上記の坪単価は、建築着工統計2017年資料全国平均坪単価(国土交通省)を参考にしています。
構造ごとに坪単価がそれぞれ違うのには、以下の理由が挙げられます。
・材料の重量は、木造<鉄骨造<鉄筋コンクリートの順で異なり重量が重い程、建物を支える基礎工事に費用がかかる。
・材料の仕入れ価格が違う。
・施工方法や工期がそれぞれ違う。
価格以外に注意する所は、建てる場所や地域によって上記の構造に対応できる施工会社が異なることです。
施工会社によって木造のみしか対応できない場合もあれば、鉄骨若しくはRC造のみしか対応できない会社もあります。
また、建設する時期によっては材料価格の変動や人件費など実際の坪単価は異なる場合があります。
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木造(W造)の特徴とは
木は他の工業製品と比べて、自然で生きてる材料です。その理由として性質上、木材に含まれている水分によって、乾燥・収縮します。
また1つの部材でも節があったり密度が異なるなど、耐震性の観点からは扱いにくい側面がありますが材料の取替が容易である為リフォームが行いやすい利点もあります。
木造住宅の主な特徴は以下の通リです。
木造軸組み工法(在来工法)
在来工法 参考図 |
在来工法とは、柱、梁、壁(筋交い)などを軸に家を支える方法で施工を行う工法でメリット・デメリットは以下の項目が挙げられます。
メリット
・組立てが容易であることから、対応できる施工業者は最も多く工期の目安として4~5か月と短くコストも安価。
・構造の制約も比較的少なく、敷地の形状やデザインなど様々な間取りも対応できる。
・国内の材料生産率も高く、メンテナンス・リフォームなどが簡単に対応できる。
デメリット
・耐火性は鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート(RC造)に比べて材料自体が燃えやすく劣る。
・虫が好みやすい材料の為、木材自体の定期的な防虫処理(約5~10年ごと)が必要。
・木材自体の乾燥・収縮によって躯体接合部分に隙間が生じやすい為、気密性・防音性が劣る。
・大工の腕のレベルや設計方法の工夫によって気密性・防音性にばらつきがある。
2×4工法(木造枠組壁工法)
木造枠組壁工法 参考図 |
アメリカやカナダで開発され、主に住宅用の建築物として採用されており、角材(2×4インチ)を枠で組み構造用合板を打ち付けて壁や床を構成する工法です。
メリット
・柱や梁、筋交いなどで地震力を受け止める在来工法とは違い、床、壁、天井を面全体で受け止めることから建物のねじれやゆがみが起きにくい。
・枠の上から構造用合板を打ち付ける為、気密性が高く断熱性能も期待ができる。
・在来工法と同様対応できる施工業者は最も多く工期の目安として4~5か月と短くコストも安価。
・組立ても簡単で施工業者による品質の差も少ない。
デメリット
・壁量や面積で強度が左右されることから窓の配置がしにくい。
・広い部屋の対応できないなど設計間取り自由度に制限がある。
・部屋の間取りを改修するリフォームなどには不向き。
・耐火性、防虫性能は在来工法と同じ。
鉄骨造の特徴とは(S造)
鉄骨造(ラーメン工法) 参考図 |
鉄骨造は板厚の違いで大きく分けて2種類あり、1つ目は重量鉄骨造、もう1つは軽量鉄骨造があります。それぞれ違いと特徴について説明します。
重量鉄骨造(S造)
重量鉄骨造は鉄骨造の一種です。軽量鉄骨造との違いは、「使用する板厚」です。
板厚が4.5mm以下の鉄骨は「軽量鉄骨」、6.0mm以上から「重量鉄骨造」という扱いで、板厚が厚い分、強度が高くなるので大きなに耐えることができます。
材料の強度から軽量鉄骨造は主に2階建て住宅、3階建て住宅からは重量鉄骨造として採用されていることがあります。
メリット
・材料の強度、剛性が共に高いことから低層住宅から高層ビルまで対応できる。
・RC造や木造の柱間隔より、S造の方が柱の間隔(8~12m程度)を大きくできる為大空間の部屋も実現可能。
・組立て式である為、リフォームしやすく木造と同様工期(4~5か月程度)が短い。
デメリット
・RC造と比べると、材料の変形は高いので地震時の揺れは大きい。
・防音性は材料自体が音が反射しやすい為、他の工法に比べると遮音性は評価として劣る。
・部材自体の断熱性能も他の工法に比べて劣る。
鉄筋コンクリート造(RC造)の特徴とは
鉄筋コンクリートは、鉄筋とコンクリートを組み合わせた材料です。
コンクリートはセメント、水、砂、砂利を練り混ぜることによって固い塊に近い性質を持っており、圧縮(上から押される力)には強いですが、引張りの力(横から押される力)には弱いです。
そこで引張力強度が高い鉄筋を組み合わせることで、とても強い材料になります。
鉄筋コンクリート住宅の主な特徴は以下の通リです。
ラーメン構造
鉄筋コンクリート造(ラーメン構造) 参考図 |
ラーメン構造とは、柱、梁、壁などを軸に家を支える方法で施工を行う工法のことです。
メリット・デメリットは以下の項目が挙げられます。
メリット
・現在の建築基準法により設計されたRC造は、大地震によって崩壊した事例が大幅に減少しており比較的耐震性が高い構造として認知されている。
・耐火性、防虫性、耐久性も他の工法に比べると圧倒的に優れている。
・部材自体の乾燥、収縮が他の工法と比べて少なく、躯体は型枠にコンクリートを充填する施工方法であることから気密性・防音性能が共に高い。
・柱間隔長さは一般的には7~10mと木造に比べて大きく、大空間の部屋などの間取りも対応できる。
デメリット
・コンクリート強度が固まるまでの養生期間が必要になる為、他の工法に比べると圧倒的に工期は長く、費用がかかる。
・建物の重量が他の構造と比べて重い為、基礎工事に費用がかかる。
壁式構造
鉄筋コンクリート造(壁式構造) 参考図 |
壁式構造とは、柱や梁を軸とするラーメン構造と違い主に壁柱を軸に家を支える方法で施工を行う工法のことです。
他の工法に比べたメリット・デメリットはラーメン構造とほぼ同じですが、違いとして以下の項目が挙げられます。
メリット
・柱や梁の凹凸がなく、各部屋の家具や家電を設置しやすい。
・その他のメリットはラーメン構造と同じ。
デメリット
・壁量や面積で強度が左右されることから窓の配置がしにくい。
・壁柱間隔長さは5~7m程度とラーメン構造に比べて設計間取り自由度に制限がある。
・部屋の間取りを改修するリフォームなどには不向き。
・その他のデメリットはラーメン構造と同じ。
購入前の選定ポイントとは?
冒頭で説明した通リ建築構造といっても材料によって色々特徴や、メリット、デメリットがあります。
上記の特徴を参考に家作りの計画において決め手や選定ポイントについて以下の通リ紹介します。
木造住宅がおすすめな人の特徴
・ローコスト住宅を希望している。
・短期間で家を建てたい人。
・将来家族構成の変化によりリフォームを考えている人
鉄骨造がおすすめな人の特徴
・大空間の部屋を希望している人。
・短期間で家を建てたい人。
・3階建て以上の住宅を希望している人。
鉄筋コンクリート造がおすすめな人の特徴
・メンテナンス費用を抑えたい人。
・地震による揺れや耐震性能が高い住宅を建てたい人。
・防火地域又は準防火地域など防火性能の高い建物の指定がある土地に家を建てる人。
上記のような特徴に多く該当する構造を参考に選ぶと迷わずに施工業者を具体的に絞りやすくなるでしょう。
また、施工業者を選定する前に以下の記事も参考に見ておくことをお勧めします。↓
長期優良住宅とは?メリット・デメリットと基準や申請について
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