住宅の階段寸法基準とは?
住宅の階段を設計する一つの基準として建築基準法によって定められた踏面・けあげ寸法、階段幅、手すりなどの条件をクリアすることが一般的ではあります。
しかし、建築基準法によって定められた基準とは最低限の安全性を確保するための条件であって実際に生活する上で上り下りしやすい設計ではありません。
それぞれの条件と安全な階段設計について詳しく解説していきます。
建築基準法施行令による住宅の階段寸法規制は、下記の表と参考基準図により定められております。
階段寸法基準表
階段の種別 | 階段・踊場幅(W) | けあげ(R) | 踏面(T) | 踊場の位置 |
住宅用 | 75㎝以上 | 23㎝以下 | 15㎝以上 | 高さ4m以内ごと |
階段寸法参考基準図
階段幅・踊場の寸法参考基準図 |
けあげ・踏み面の寸法参考基準図 |
手摺の設置寸法参考基準図 |
階段の昇降は一般的に緩やかなほうが昇降しやすいといわれていますが上記の基準制限いっぱい「23㎝(R)/15㎝(T)」での階段勾配では緩やかではない為昇降しにくいとされております。
安全性が高く上り下りしやすい階段とは?
高齢者でも安全に昇降できるとされている階段の寸法・勾配は、6/7以下、55㎝≦2R(けあげ)+T(踏面)≦65㎝(建設省住宅局住宅生産課監修『必携 住宅の品質確保の促進等に関する法律』を参考)とされております。
また、段鼻部分とけこみ板との寸法は足先が引っ掛からないように30mm以下とし、先端で足を滑らし大けがをしないようにすべり止めを設けるようにします。(参考基準図②参照)
安全に昇降可能な踊場付き階段(参考基準図①参照)の基準は以下の通リです。
安全に昇降可能な踊場付き階段
参考基準図① |
段鼻部分とけこみ板との寸法
参考基準図② |
上記の図と通リ安全に方向転換ができてかつ、万一の転倒または転落時にも一気に階下まで落下せず踊場で止まる為、大けがする危険性が低いとされています。
直線階段、踊場に3段折れ曲がり階段は好ましくない。
踊場に3段折れ曲がり階段とは?
90度3つ割階段+踊場を組み合わせた階段で、3段曲がり部分で方向転換をしつつ昇降する為、転落の危険性はあるが下方に踊場があります。
万一転倒・落下してもその部分で止まれば、大けがの危険性が低いとされるが、あまり好ましくない。(参考図A参照)
直線階段とは?
同じテンポで昇降ができ、踊場が無い分面積は小さくできることはメリットです。
欠点として転落した時には踊場が無いので階下まで落下し、大けがをする危険性がある為あまり好ましくないといえます。(参考図A参照)
参考図A(左側は3段折れ曲がり階段、中央は直線階段、右側は回り階段) |
回り階段とは?
踊場内が全て昇降するエリアとなっている為、左側の踊場に3段折れ曲がり階段に比べて転落した時に止まる所がない為大けがする危険性は高いといえます。(参考図A参照)
住宅階段寸法基準についてのまとめ
今回の覚えてほしいポイント
1.建築基準法での規定寸法はあくまで最低基準によるもので、生活での昇降についての階段勾配は6/7以下、55㎝≦2R(けあげ)+T(踏面)≦65㎝を参考にする。
2.段鼻部分とけこみ板との寸法は足先が引っ掛からないように30mm以下とし、先端で足を滑らし大けがをしないように、すべり止めを設けるようにする。
3.階段寸法幅は75㎝以上とし、手摺は高さ1mを超える場合の昇降であれば設置が必要。
4.踊場に3段折れ曲がり階段、直線階段は万一転落した場合、階下まで落下する可能性が高く大けがする危険性があることからあまり好ましくない。
5.従来ある踊場内に180度均等4つ割り階段のような回り階段は昇降勾配が厳しくまた踊場がないため転落した場合、危険性が高い。
これから住宅を購入する方は、依頼する施工業者又は設計事務所などに間取り図や見積りをもらい検討すると思います。
階段は生活動線や間取りに大きく影響します。
今回階段について解説したポイントを参考に快適な住まいを建ててみてください。
また住宅の広さは土地の広さ・状況によって建てられる面積・高さ・配置など制限されています。
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