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2023年8月9日

建物 高さ制限と家作りに失敗しない為のポイント

建築基準法

建物の高さ制限とは?

建物を建てる為には「建築基準法」という法的規制を守る義務があります。

建築基準法には道路や隣接地の採光・通風を確保する為、高さ制限によりさまざまな建物の制限が定められています。

用途地域や都市計画などによって高さ制限の上限が異なり、分類として「道路斜線制限」、「隣地斜線制限」、「北側斜線制限」、「絶対高さ制限」などがあります。

土地を購入した時点で、これらの高さ制限を守らないと建物の法的審査が通らず工事が着手できなくなります。

理想の家作り計画をするのであれば、これらの制限をきちんと理解すると敷地と建物の配置計画をしやすくなります。

これから説明に使用する建築用語の略語

法第〇〇条 → 建築基準法第〇〇条

令第〇〇条 → 建築基準法施行令第○○条

道路斜線制限とは?

道路斜線制限とは左図で示しているように土地と接道している道路(前面道路)の反対側の境界線から一定の勾配(住居系1.25又は非住居系1.5)で引いた斜線の内側が建築することができる範囲とされています。

前面道路の反対側の境界線から、容積率の限度に応じて定められた一定の適用距離以下の範囲内に限り高さの上限が適用されています。

用途地域による適用距離、勾配の数値は法別表第3によって定められております。

法別表第3 前面道路との関係と建築物高さ制限

建物がある用途地域 容積率の限度 適用距離 数値
住居系(第1種住居専用地域や準住居地域など住居が関連している地域全て) 200%以下の場合 20m 1.25
200%超え300%以下の場合 25m
300%超え400%以下の場合 30m
400%を超えるの場合 35m
非住居系(住居以外の工業地域や商業地域など) 200%以下の場合(工業系) 20m 1.5
200%超え300%以下の場合(工業系) 25m
300%超え400%以下の場合(工業系) 30m
400%を超えるの場合(工業系) 35m
400%以下の場合(商業系) 20m
400%超え600%以下の場合(商業系) 25m
600%超え800%以下の場合(商業系) 30m
800%超え1000%以下の場合(商業系) 35m
1000%超え1100%以下の場合(商業系) 40m
1100%超え1200%以下の場合(商業系) 45m
1200%を超えるの場合(商業系) 50m

道路高さ制限の計算例

住居系の場合で道路幅が4mの場合

4m×1.25(法別表第3の数値)=5m(土地の接道境界に地点で建てられる建物の高さ)

非住居系の場合で道路幅が4mの場合

4m×1.5(法別表第3の数値)=6m(土地の接道境界に地点で建てられる建物の高さ)

上記の計算例は計画建物を前面道路の接道境界地点での高さ制限です。

計画建物を前面道路の接道境界地点からセットバックすると下記の図のように高さが緩和されます。

隣地斜線制限とは?

隣地斜線制限とは、左図のように隣地境界線から建築物の水平距離の内最小の距離aを加えたものに住居系1.25、非住居系2.5に定められている定数乗じて得たものに、住居系の建築物にあっては20m、非住居系の場合は31mを加えた数値の高さ制限のことをいいます。

高さ制限が道路斜線や北側斜線に比べて厳しくないので、高層建築物の設計以外は計算はあきらかに適合されていますので除外しています。

北側斜線制限とは?

北側斜線制限とは、左図のように建築物の当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に1.25を乗じて得たものに、第1・2種低層住居専用地域内の建築物にあっては5m、第1・2種中高層住居専用地域内の建築物は10mを加えた数値の高さ制限のことをいいます。

 

家作りの際に失敗しない為のポイント

冒頭で説明した通り高さ制限には4つの種類に分類され、都市計画や用途地域によって守らなければならない制限がそれぞれ異なります。

住宅を建てる上であらかじめ以下のポイントを注意して土地を購入することをお勧めします。

1.地方公共団体の条例により定められている地域は、「軒の高さが7mを超える建物又は3階以上の建物」、「高さが10mを超える建物」はさらに「日影規制」の高さ制限を満たす必要がある。

2.低層住宅(2階建て)でも高さ制限の中でかかりやすいのは「道路斜線制限」「北側斜線制限」。

「道路斜線制限」と「北側斜線制限」がかかりやすい理由

道路斜線制限は前面道路幅によって高制限は変わりますが、住宅地などでは法的規制により道路幅が最低でも4m以上必要です。

道路幅が4mで用途地域が住居系の条件で、建物の配置計画位置を道路接道面いっぱいまで寄せた場合、高さが5mを超えるとこの制限にかかります。

また、土地の広さや道路幅・隣地との地盤面の高低差によっても影響がありますが、北側斜線制限の場合も同様に建物の位置が敷地境界線から近接しているとこの高さ制限にかかりやすいです。

敷地の地盤高さを外構工事で高くする計画予定であれば、その分の高さも検討しておきましょう。

これから土地を購入する方は以下の記事も参考にするとイメージしやすいです。

60坪の土地に建てられる家の間取りと注意すべき建築制限とは?

用途地域ごとに該当する建物高さ制限

用途地域 道路斜線制限 隣地斜線制限 北側斜線制限 絶対高さ制限 日影規制
第1種又は第2種低層住居専用地域 条例に指定された場合
第1種又は第2種中高層住居専用地域 同上
第1種又は第2種住居専用地域 同上
準住居地域 同上
近隣商業地域 同上
商業地域
工業地域
工業専用地域
指定なしの地域 条例に指定された場合

凡例

〇:規制あり、-:規制無し

上記の該当する高さ制限で注意してほしいことは、用途地域で第1種又は第2種低層住居専用地域内においては、法第55条第1項により絶対高さ10m又は12mの高さの限度を超えてはならないことになっています。

道路斜線や北側斜線制限が10m又は12m以上クリアしていたとしても、絶対高さの基準を守らないといけないので気を付けてください。

また工業専用地域内は原則住宅は建てられませんので土地を購入する際は注意して下さい。

用途地域は高さ制限以外にも容積率、建蔽率の制限や採光補正系数もありますので合わせて覚えておくと、土地を購入する判断がしやすくにります。

詳しい説明の投稿記事 ↓

不動産購入前に知っておくべき建蔽率・容積率とは?

建築基準法での採光基準、建物配置に影響する制限とは?

 

天空率比較による高さ制限の緩和とは?

天空率とは道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限などの高さ制限に掛かってしまった場合高さを緩和してもらえる法律です。

考え方としては、敷地幅と計画建物を立体的に投影した投影面の水平投影面積と想定半球(地上にある位置を中心としてその水平面上に想定する半球)の水平投影面積との割合で算出された%で合否を判断する方法です。

解析結果が合格となれば高さ制限を緩和できますが、必ずしも合格する訳ではありません。

また、法律上合格と判断するための解析資料や図面、データ提出による作業が加わる為、設計料が割り増しとなりますので注意して下さい。

どうしてもこだわりたい家作りの為に金額をかけてでも解析をしてほしい場合は、活用してもよいでしょう。

 

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