住宅の基礎工事の単価と種類とは?
住宅を建てる工事の順番は、①基礎工事→②躯体工事→③内装工事→④外部仕上げ工事→⑤外構工事という工程で進めていくのが一般的です。
基礎工事とは、家を支える土台を土地の地盤面に重量を伝えて沈下や家が傾かないように支持する重要な工事です。
主に住宅基礎に採用される代表的な基礎は、「ベタ基礎」若しくは「布基礎」の2種類が一般的ですが、それぞれ異なった特徴があります。
一般的な2階建ての住宅35坪の場合の基礎工事費用目安額は以下の通リです。
- ベタ基礎の場合は平均175万円
- 布基礎の場合は平均145万円
上記の金額は、コンクリートや鉄筋などの年度ごとの物価変動による材料単価や工事作業員の人件費によって費用は変動します。
その為、該当する地域のハウスメーカーや工務店など複数社見積り依頼比較し相場額を確認し正確な単価を見極めることが大切です。
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また、費用以外にも耐久性・湿気・害虫対策・断熱性能などの違いがあるので購入前にしっかりと知識を入れておくことが大切です。
ベタ基礎と布基礎の違いとは?
ベタ基礎とは?
参考図 | 解説 |
姿図(木造又は鉄骨造など選定する構造によって多少形状は異なる) 断面図(木造住宅) |
目安単価(建築基準法を満たした最低基準の場合)
1㎡当りの単価:1.5万円程度(2F木造住宅の場合)
べた基礎とは、荷重を基礎スラブ面全体で直接に広範囲の地盤に伝える構造です。 木造、鉄骨造など比較的軽量な住宅又は軟弱地盤に対して採用されています。 メリット ・地盤から発生する湿気防止やシロアリ対策の効果有。 ・面全体で重量を支持している為、軟弱地盤でも対応できる。 デメリット ・布基礎と比べてコンクリートや鉄筋量が多い為、費用がかかる。 |
布基礎とは?
参考図 | 解説 |
姿図 断面図(木造住宅) |
目安単価(建築基準法を満たした最低基準の場合)
1㎡当りの単価:1.25万円程度(2F木造住宅の場合)
布基礎とは壁または一連の柱から荷重を基礎で支えるものです。 主に2階建て木造住宅・鉄骨造や平屋建ての壁式鉄筋コンクリート造、など一般的に広く採用されています。 土地の地盤が良質な場合に適している。 メリット ・ベタ基礎と比べてコンクリートや鉄筋量が少ない為、費用が安価。 デメリット ・ベタ基礎と比べて地盤から発生する湿気防止やシロアリ対策の効果がない。 |
従来の布基礎と近年の布基礎との施工方法の違いとは?
近年、耐震性や耐久性が重要視されており、ベタ基礎を採用するハウスメーカーが増えています。
また、布基礎を採用する場合でも内部に土間コンクリートや防湿シートを施し湿気やシロアリ対策を行っていることが一般的になってきています。(土間が有る近年の断面図②を参照)
ただし、土間コンクリートや防湿シート・その他断熱性能を向上させる為の施工方法にかかるコストは上記の目安単価より割り増しになりますので注意してください。
布基礎施工方法の違い(参考図) |
土間が無い従来の断面図① ↓ 土間が有る近年の断面図② ↓ |
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耐震等級3のハウスメーカーは何社ある?免震・制振の違いとは?
追加工事費用が発生する土地とは?
冒頭で布基礎とベタ基礎について解説してきましたが、土地の条件によってこれらの基礎工事以外の追加工事を行う必要があることがあります。
追加工事が必要な土地の条件は以下の項目に該当する場合発生する可能性があります。
土地の地盤面の高さが周りの土地と比べて低く、水はけが悪い
家を計画する土地の地盤面より周囲の土地の地盤面が高い場合、大雨などの影響で水が溜まりやすい土地といえます。
水はけが悪いと湿気が常に高い環境である為、カビやシロアリが好みやすく建物の劣化進行速度が速まり耐久性能が低下します。
そうならない為に、土地に盛り土など造成工事をし地盤面を高くする必要があります。
また、周囲の土地との高低差が2m以上の場合、建築基準法で土留めが必要です。
土留めする方法は、擁壁工事を行うことが一般的ですがその分の追加費用が発生します。
これから土地を購入する方は、周囲の地盤高低差にも注意しておくことをおすすめします。
浸水地域又は地すべり地域・海や川付近の土地
家を建てる土地の地域が以下の項目に該当する場合軟弱地盤の可能性が高く、地盤を強化する為の工事(地盤改良や杭工事)を行う必要があります。
- 浸水地域又は地すべり地域。
- 田んぼや沼など地下水が通っている土地。
- 海沿いや川沿いまたは埋立地。
上記の項目は、グーグルマップ若しくは 「国土交通地理院 地形図」より確認することができます。
埋立地の場合は、その付近に住んでいる人や市役所の担当者から聞き込み調査で確認する必要があります。
また家を計画する上では必ず土質調査を行い、その結果報告書の内容から基礎工事の工法選定をし設計します。
ハウスメーカーや工務店などの施工業者と契約する際には事前に土質調査結果報告書を提示できるか確認することをお勧めします。
公共下水道が通っていない地域
公共下水道とは、市街地における下水を排除又は処理するために地方公共団体が管理する下水道のことをいいます。
人口密度が高い市街地は、財政が豊富にある為下水を処理する最終処理施設や流域下水道に接続工事にかかる費用を負担することが可能です。
しかし、田舎のような人口密度が低い地域はそのような費用が賄えうことができないケースがほとんどで、その地域で住宅を建てる際に浄化槽を設置することが義務ずけられています。
浄化槽とは生活排水によって発生した汚水を浄化槽内の微生物のはたらきによって水を浄化する設備のことをいいます。
家庭用として使用されている浄化槽の大きさは、5人槽、7人槽、10人槽の3種類が一般的です。
これは実際に入居する人数ではなく、建築基準法の処理対象人員算定基準により、建物の延べ床面積で決定しています。
一戸建て住宅の建てる面積 | 居住する人数 | 設置費用(目安) |
延べ床面積 130㎡未満 | 5人槽 | 90万円程度 |
延べ床面積 130㎡以上 | 7人槽 | 100万円程度 |
2世帯住宅で浴室と台所が2カ所以上 | 10人槽 | 120万円程度 |
上記にかかる浄化槽設置費用はあくまでも目安なので依頼するハウスメーカーや工務店などによって価格に差があります。
その為、複数社見積り依頼比較し相場額を確認し正確な単価を見極めることが大切です。
価格や性能を複数社比較する為には間取り図や見積り書の確認が必須条件です。
一社ごとにそれぞれ直接会社に訪問して見積り依頼又は打合せをして見積り比較する方法がありますが、それでは交通費や時間などの大幅な労力が必要です。
基礎・床下の設計で長持ちさせる6つの対策方法とは?
住宅を長持ちされるには上部の構造材や外装材などの対策以外にも基礎や床下の対策も大切です。
耐久性を向上する為の基礎・床下の対策方法について詳しく説明していきます。
土間コンクリートを設け、また土間下に防湿シートを張る。
布基礎、べた基礎など建物内部の土間コンクリート下に地盤から発生する湿気を防ぐため防湿シートを設ける必要があります。
土間から下に貼り付ける理由として、土間コンクリートが防湿シートを重量で押さえる効果があるためです。
コンクリート品質や強度、かぶり厚さ、鉄筋も確認しよう
基礎の構造体としてコンクリートの材料がほとんどです。
コンクリートの品質として基準強度がありますが、耐久性向上のため24N/㎟以上(セメント水比が60%以下となりやすいため)を使用しましょう。
水セメント比とはコンクリート1㎥当たりの中に含まれるセメントと水の比率を百分率で示した値のことです。
比率が60%以上だとセメントより水の量が多くなる為、乾燥や収縮によってコンクリートのひび割れが発生しやすくそこから空気や湿気等が侵入し、鉄筋が錆びやすくなることによって耐久性に影響を及ぼします。
かぶり厚さとは、コンクリート表面から鉄筋表面までの最短距離のことです。
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修によって発行された公共建築工事標準仕様書(建築工事編)では以下の基準が定められております。
建物の部位(屋外) | 必要かぶり厚さ |
直接土に接しない柱梁や壁 | 40mm以上※ |
直接土に接しない床 | 30mm以上 |
直接土に接する梁や壁、床及び布基礎の立上り部 | 40mm以上 |
直接土に接する基礎部分 | 60mm以上 |
※耐久性上有効な仕上げを施す場合はー10mm減じることができる。
土間コンクリート床厚について
土間コンクリート床厚は、120mm以上確保することが建築基準法上原則として規制されております。
しかしそれは、耐久性上最低基準を満たす為の基準です。
かぶり厚さが薄すぎると鉄筋の錆など劣化を早めてしまいコンクリートのひび割れや湿気対策などに影響がある為あまり好ましくありません。
そのため、耐久性を考慮した土間コンクリートの床厚は、150mm以上はあると望ましいといえるでしょう。
土台に使用する構造用木材はヒノキが望ましい。
木造に使用される構造材としてスギや米松、ヒノキなどが挙げられます。
シロアリが特に嫌がる木材がヒノキとされていますが、スギや米松に比べて材料単価が高い為上部の構造材はスギを使用し、基礎の土台部分のみヒノキを使用する方法もあります。
防虫処理も10年までしか効力がありません。
防虫処理は業者から10年保証が発行されますので大切に保管し、またその期間に近づいた際には防虫処理のメンテナンスの調整が必要ですので計画的に補修費用を貯蓄しましょう。
床下の高さは45㎝以上かつ湿気対策として竹炭を敷く。
湿気が高いとシロアリやその他の虫にとって好みやすい環境を与えるだけでなく、カビの発生がしやすく土台や基礎に耐久性に影響を及ぼします。
万が一、シロアリ等の害虫の侵入や設備配管のメンテナンスの為、床下高さは45㎝以上設けるようにしましょう。
湿気対策として材料として竹炭が効果的です。
竹炭は土壌改良、調湿、消臭などの効果はもちろん、有害な化学物質の吸着、空気や水質浄化など生活環境改善機能に優れ幅広い分野で活躍しています。
金額も安価な為取り入れた方が望ましいと思います。
設備配管は土間床からではなく、基礎梁から貫通する。
住宅の水回りの排水管や給水その他電気配線の配管等、設備配管が発生します。
このような配管貫通計画で土間コンクリート床から貫通する方法はあまりお勧めしません。
なぜなら防水シートも貫通することになるため防湿効果が減少し、設備配管メンテナンス確認がしにくくなるからです。
基礎梁から配管貫通する方が劣化や漏水した場合、床下から点検しやすい為おすすめです。
また、ハウスメーカーとの交渉方法として「 長期優良住宅 」に対応できる住宅なのか確認するのも一つの方法です。
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