延焼ラインとは?
延焼ラインとは、住宅で火災が生じた場合や隣の建物または道路で火災が発生したときに、火が燃え移る可能性がある範囲のことです。
延焼の恐れがある範囲は以下の項目によって定められています。
1.敷地の隣地境界線から、建築物までの距離が1階部分で3m以内、2階以上の部分は5m以内の位置は延焼ラインの範囲内。
2.敷地に接道している道路中心線から建築物までの距離が1階部分で3m以内、2階以上の部分は5m以内の位置は延焼ラインの範囲内。
3.同一敷地内に建物が2つ以上ある場合で、床面積の合計が500㎡を超える場合はそれぞれの建物の外壁同士の中心から、1階部分で3m以内、2階以上の部分は5m以内の位置は延焼ラインの範囲内。
これから解説に使用する建築用語の略語
法第〇〇条 → 建築基準法第〇〇条
令第〇〇条 → 建築基準法施行令第○○条
延焼ライン内にかかる場合に取付する防火設備とは?
「防火設備」とは、火災が発生した場合に火や煙が外部に漏れないようある程度の時間まで熱に耐えられるように防火性能を満たした開口部(窓・ドア)のことをいいます。
防火設備の取付しなければいけない場合とは?
延焼ライン内にかかる防火設備の取付しなければならない条件は以下の通りです。
1.建物の構造が耐火建築物または準耐火建築物の場合
2.計画する土地の地域が防火地域または準防火地域の場合(耐火・準耐火建築物以外の建築物も該当する)
上記の条件を簡単に解説すると防火設備の要否は、「建築物の構造種別」と「防火地域の種別」によって決まると判断してください。
防火地域・準防火地域に建てる建物は、防火制限があり小規模な住宅でも耐火・準耐火建築物としなければならない為、防火性能が高い住宅にする必要があります。
その為、その地域に該当する住宅は費用が高くなります。
合せて知っておいた方が良い記事はこちら ↓
防火設備に該当する条件とは?
防火設備は以下の条件のいずれかに該当する必要があります。
1.建設省告示1360号の構造方法を定めた基準を満たした開口部
2.大臣認定仕様によって認定された開口部(認定番号のシールが貼られている)
これらの基準を適合することによって以下の防火性能があることが評価されています。
防火設備 | 時間 | 性能 |
令109条の2による防火設備「耐火・準耐火の外壁開口部」 | 20分 | 遮炎性能の技術的基準
(通常の火災による火熱が加えられた場合に火炎を出さないもの) |
令112条1項による特定防火設備「防火区画の開口部」 | 1時間 | |
防火・準防火地域の木造建築物の外壁開口部の防火設備
(法64条,令136条の2の3) |
20分 | 準遮炎性能の技術的基準
(建築物の周囲おいて発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に火炎を出さないもの) |
※補足説明
上記1.の建設省告示仕様とする場合、告示1360号に定めれた基準を満たす建具を制作する必要があります。
建設省告示1360号に定めた構造基準とは、「防火戸の構造(鉄板の厚み0.8㎜以上1.5㎜未満のもの)」と「火を遮る仕様であること(相じゃくりで隙間がないこと)」の2つの基準で成り立っています。
また大臣認定仕様とする場合、「耐火又は準耐火建築物の場合は、認定番号EA・EBのいずれか」とし「防火又は準防火地域の場合は、認定番号EA・EB・ECのいずれか」とされています。
これらの項目は建築確認申請図面(平面図・建具表など)に認定番号、告示番号を記載しなければ行政審査が通りません。
建築確認申請について解説した記事はこちら ↓
延焼ラインには緩和規定がある。
延焼ラインには以下の防火上有効な所に面する部分は緩和規定があります。
・広場
・川や水面
・耐火構造の壁又はこれらに類する部分
・都市計画公園
上記の項目に該当する面は防火上有効であることが認められている為、延焼ラインに該当しません。
これから注文住宅を建てる予定の方は、あらかじめ土地の形状や周囲の条件を把握しながら建物の間取りや配置を計画を考えておくとスムーズに進めることができます。
以下の記事は土地と建物の間取り配置に関する必要な知識が記載されていますので興味がある方は参考にしてみて下さい。 ↓
60坪の土地に建てられる家の間取りと注意すべき建築制限とは?
延焼ライン内の外壁や屋根・床の仕様について
延焼ライン内にある建物の構造が耐火建築物または準耐火建築物の場合、以下の基準に適合しなければなりません。
これから解説に使用する建築用語の意味
主要構造部とは 壁、柱、床、梁、屋根、階段部分のこと。
耐火構造とは 壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、「耐火性能」に適合する鉄筋コンクリート造、レンガ造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は認定を受けたもののこと。
準耐火構造とは 壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、「準耐火性能」に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は認定を受けたもののこと。
防火構造とは 建築物の外壁又は軒裏の構造のうち、防火性能に関する技術的基準に適合する鉄網モルタル塗などの構造で、告示仕様又は大臣認定のもの。
耐火性能、準耐火性能・防火性能に関する技術的基準は以下の性能を満たしたもの
性能 | 部分 | 非損傷性 | 遮熱性 | 遮炎性 |
耐火性能 | 壁・柱・床・梁・屋根・階段 | 30分~3時間
(通常の火災) |
30分~1時間
(通常の火災) |
30分~1時間
(屋内の火災) |
準耐火性能 | 壁・柱・床・梁・屋根・階段 | 30分~45時間
(通常の火災) |
30分~45時間
(通常の火災) |
30分~45時間
(屋内の火災) |
防火性能 | 外壁・軒裏 | 30分
(周囲の火災) |
30分
(周囲の火災) |
ー |
不燃性能とは通常火災時に一定時間の間火熱により燃焼しない建築材料(不燃材料、準不燃材料、難燃材料)のことで、告示仕様又は大臣認定のことをいう。
耐火建築物の場合(法2条9号の2)
・主要構造部を「耐火構造」又は「耐火性能の技術的基準に適合するもの」
・外壁の開口部で延焼のおそれのある部分は、「防火戸その他の防火設備」にする。
準耐火建築物の場合(法2条9号の3)
・主要構造部を「準耐火構造」又は「準耐火構造と同等の技術的基準に適合するもの」
・外壁の開口部で延焼のおそれのある部分は、「防火戸その他の防火設備」にする。
「準耐火構造と同等の技術的基準に適合するもの」は以下の通リです。
建築物の部分 | 外壁耐火のロ準耐
(令109条の3第1号) |
不燃構造のロ準耐
(令109条の3第2号) |
|
内壁 | 間仕切り壁 | ー | 準不燃材料 |
外壁 | 延焼部分 | 耐火構造 | 防火構造+準不燃材料 |
延焼部分外 | 準不燃材料 | ||
柱 | ー | 不燃材料 | |
床 | 3階以上 | ー | 屋内の火災による30分間の非損傷性・遮熱性 |
その他 | 準不燃材料 | ||
梁 | ー | 不燃材料 | |
屋根 | 延焼部分 | 法22条区域の屋根の構造+屋内の火災による20分間の遮炎性 |
法22条区域の屋根の構造 + 準不燃材料 |
延焼部分外 | 法22条区域の屋根の構造 | ||
階段 | ー | 準不燃材料 |
失敗しないハウスメーカー選びについて
防火地域・準防火地域内に土地を所有されている方で新築住宅を建てる場合、防火性能の高い建物を建てることが前提となっています。
ハウスメーカーも会社によってそれぞれ特徴や得意分野があり、不得意な会社を選定した場合建設費用が高額となったり、対応できないこともあります。
冒頭でも解説しましたが、防火性能の高い建物は、「木造・鉄骨造の場合外部の仕上げ材料を不燃・準不燃材料にする」若しくは「耐火構造である鉄筋コンクリート造」どちらか選定する必要があります。
通常鉄筋コンクリート造は、木造・鉄骨造に比べて工期が長くかかる為、坪単価は高くなる傾向がありますが、防火性能を満たすための対策をした場合、総合的な価格に差が無いことがあります。
以下の記事は、ハウスメーカーの坪単価・特徴や性能について紹介した情報をまとめた記事です。
興味がある方は参考にしてみてください。↓
まとめ
押さえておきたいポイント
- ・延焼ラインかかる範囲内で、建物の構造を耐火建築物または準耐火建築物する場合や防火地域・準防火地域内にある土地は防火に関する性能が義務化されているので注意する。
- ・窓やドアを選ぶ方法としてメーカー側に告示仕様又は大臣認定されているのか確認する。
- ・木造住宅にする場合は、延焼ラインにかかる外壁や屋根・階段床など耐火性能又は準耐火性能を満たしているか確認する。
- こらから注文住宅を建てる予定の人は、土地の形状や建物の配置計画・間取りなどあらかじめ考えておく。
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