長期優良住宅とは?メリット・デメリットと基準や申請について

住宅購入

長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、長く安心・快適に暮らせる状態で使用する目的の為、住宅性能評価制度の基準をクリアした認定住宅のことをいいます。

一般的な住宅に比べて、バリアフリー、耐震性、省エネルギー性、維持管理などの様々な条件を満たす必要がある為、建物全体の性能が高くなる反面、審査基準が厳しく手続きも複雑です。

また、色々な基準を考慮しながら設計をすることになりますので間取り制限、設計期間もそれなりにかかります。

今回は認定基準と手続きの流れやメリット・デメリットについて解説していきます。

長期優良住宅にするメリット

長期優良住宅は、税制優遇・金利・補助金など一般住宅と比べて様々なメリットがあります。

具体的には以下の項目が挙げられます。

・税金の優遇措置がある(住宅ローン控除、固定資産税、不動産取得税、登録免許税)。

・補助金制度がある(新築の場合:地域型住宅グリーン化事業、中古の場合:長期優良住宅化リフォーム推進事業)。

・フラット35S金利優遇。(住宅ローンを利用する方の場合)

・耐震性や省エネルギー性など一般住宅に比べて性能が高い為、快適で安全な生活ができる

税制優遇・金利など仕組みやメリットについてまとめた比較一覧表

優遇措置の種類 優遇される内容 一般住宅 長期優良住宅
住宅ローン減税 控除対象限度額 4000万円 5000万円
フラット35 借入期間21~35年以下で融資率が9割以下の年間借入金利 1.32%~2.17%の範囲
フラット35S 借入期間21~35年以下で融資率が9割以下の年間借入金利 適用されない 1.32%~2.17%の範囲から-0.25%優遇
不動産所得税 控除額 1200万円 1300万円
登録免許税 税率(保存登記) 0.15% 0.1%
税率(移転登記・戸建て) 0.3% 0.2%
税率(移転登記・マンション) 0.3% 0.1%
固定資産税 減税措置の適用期間(戸建て) 1~3年間 1~5年間
減税措置の適用期間(マンション) 1~5年間 1~7年間

住宅ローン減税とは、住宅ローンを借りて住宅購入をした場合やリフォームによる増改築を実施した場合など、計算された所得税から差し引かれ、納めすぎた税金が戻ってくるものです。

控除率は住宅ローンの残高の1%とされており、令和元年10月1日から令和2年12月31日までに新築住宅に入居した場合は控除期間が13年間、その期間に該当しない場合の控除期間が10年間とされています。

控除期間が10年間として比較した場合、「一般住宅の最大控除額400万円」、「長期優良住宅の最大控除額500万円」となりますので、100万円お得になります。

フラット35とは、最長35年の全期間固定金利の住宅ローンのことで、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して審査や融資を行います。

フラット35Sは、フラット35の借入金利よりもさらに-0.25%一定期間引き下げる制度のことで、購入する住宅の耐震性・耐久性・断熱性・維持管理など質の高い住宅が必要条件となります。

長期優良住宅にするデメリット

・申請や手続きが通常より審査や業務量が多く、設計・審査期間がかかる。

・耐震性能が高い分間取りに制限がある。

・資金繰りとライフスタイルのバランスをとるのが難しい。

・税金の優遇期間は限定なので制度内容を確認し、スケジュール調整する必要がある。

期優良住宅の認定基準について

長期優良住宅制度は、「新築一戸建て住宅」と「共同住宅」どちらも以下の認定基準を満たすことができれば利用可能です。

性能項目等 新築認定基準 一戸建て住宅 共同住宅
劣化対策 劣化対策等級3+構造種類に応じた基準

木造:床下の有効高さ確保と床下小屋裏の点検口設置など

鉄骨造:梁・柱・筋交いに使用している鋼材の厚さ区分に応じた防錆措置または上記木造の基準

鉄筋コンクリート造:水セメント比に減ずる措置若しくはかぶり厚さを増す。

耐震性 以下のいずれかに該当するもの

・耐震等級2

・耐震等級1かつ安全限界時の層間変形を1/100(木造の場合1/40以下)

・品確法に定める免震建築物

耐震等級1~3の性能について

維持管理・更新の容易性 一戸建て住宅の場合

・維持管理対策等級(専用配管)等級3

共同住宅の場合

・維持管理対策等級(共用配管)等級3

・更新対策(共用排水管)等級3

省エネルギー性 断熱等性能等級(等級4)
可変性 躯体天井高さ2650mm以上
バリアフリー性 高齢者等配慮対策等級(共用部分)等級3

※一部の基準を除く

居住環境 地区計画、景観条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定区域内にある場合はこれらの内容と調和を図る。
住戸面積 一戸建て住宅の場合:75㎡以上

共同住宅の場合:55㎡以上

※1フロアの床面積が40㎡以上(階段部分を除く面積)

※地域の実情を勘案して所管行政庁が別に定める場合は、その面積要件を満たす必要がある。

維持保全計画 以下の部分・設備について定期的な点検・補修等に関する計画を策定(政令で定めるものについては仕様・点検項目・時期を設定)

・住宅の構造耐力上主要な部分

・住宅の雨水の侵入を防止する部分

・住宅に設ける給水又は排水の為の設備

上記の基準項目は一般財団法人住宅性能評価・表示協会によるものです。

詳細内容についても解説していますので詳しく知りたい人は確認してください。

申請(認定手続き)の流れ

申請(認定手続き)から工事完了後までの基本的な流れは以下の①~⑥の順番通りです。

①長期優良住宅の計画、作成等

②建築主が登録住宅性能評価機関に「技術的審査の依頼」をする。

③登録住宅性能評価機関に認定申請書と添付図書(設計内容説明書、各種図面・計算書、その他必要な書類や建築確認申請書)を提出・審査合格後、「適合証」の交付を受け取る。

④所管行政庁への認定申請提出・審査合格後、「認定通知書」の交付を受け取る。

⑤工事着工し、工事完了後報告する。

⑥入居後、維持保全計画に基づく点検を行い、必要に応じて調査・修繕・改良し記録の作成と保存をする。

※注意事項

・認定申請は工事着手前までに申請する必要があり、着手している住宅は申請できません。

・認定審査と建築確認申請の審査両方とも合格し、「認定通知書及び確認済証」交付後に着工すること。

確認申請について詳しく知りたい人は以下の記事を見てください。

建築確認申請の審査期間や流れ、必要書類と費用とは?

申請(認定手続き)に必要な書類

申請に必要な書類や手続きは、ハウスメーカーや工務店、設計事務所などの依頼業者に代理で行うことが一般的です。

ただし、通常の作業よりも検討する項目や審査手数料などが発生する為、設計業務の料金が上乗せされる場合があります。

必要書類名 内容
認定申請書 認定を受ける住宅の規模や位置など情報を記載するもの
設計内容説明書 認定を受ける住宅が申請書の通り設計されているか確認できるもの
各種図面・計算書 設計内容説明書の根拠となる図面や計算書
その他必要書類 建築確認申請書や確認済証、適合証など所管行政庁が指定するもの

依頼する会社選びの注意点

長期優良住宅は総合的な性能が高い分、通常の建築基準法に適合するだけでなく、住宅性能評価の認定基準条件も満たす必要があります。

そのため、資金や条件整理・スケジュール調整をうまくできるのが最大のポイントとなります。

また依頼する業者も対応可能なのか確認する必要があるので、業者選びも重要です。

依頼する会社選びについて注意してほしい所は、実績がない会社に依頼をすると対応できない場合や審査手続きに時間がかかることもあります。

また、ハウスメーカーでも会社によって対応できる商品の有無や設計士のレベル、実績がない場合があります。

以下の記事は長期優良住宅に対応できるハウスメーカー会社や坪単価、施工エリアについて紹介した記事です。

ハウスメーカーに依頼する予定の方は、活用してみてください。

長期優良住宅対応できるハウスメーカー坪単価の比較【2021年版】

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