実際の住まいをマンションと一戸建てかで迷う人は多いと思います。
今回は、どっちに住むのがお得なのか立地条件、物件価格、維持管理費などそれぞれ総合的にメリット・デメリットを比較しました。
比較結果を参考に自分に合った住まいの判断に役立ててください。
マンション・新築一戸建比較について総合的結果
比較項目 | 新築一戸建 | マンション |
1.防犯性・防災性 |
〇 |
◎ |
2.立地条件 | 〇 | ◎ |
3.物件価格 | ◎ | 〇 |
4.生活環境(防音性・通風・採光)等 | ◎ |
〇 |
5.維持管理費・駐車場 | 〇 |
△ |
6.資産価値 | 土地の価値は残る。建物の価値は30年程度で無くなる。結果→〇 | 土地の価値は住民で按分のため少なく、建物の価値は50年程度で無くなる。結果→〇 |
7.生涯コスト | 年間48万円程度 結果→◎ | 年間59万円程度 結果→〇 |
凡例
◎:良い 〇:普通 △:やや劣る
上記の結果は一般的な評価によるもので、土地や建物の条件によっては変化する可能性はあります。
それでは比較項目1~7結果内容について順番に解説していきたいと思います。
防犯性・防災性
防犯性について
防犯性はオートロック付きで、防犯カメラも敷地内に多く設置されているうえに、管理員や警備員による24時間管理を対応できることから、防犯対策ではマンションが圧倒的有利です。
一戸建てではホームセキュリティが普及していますが、管理費で賄われてるマンションと比較すると一戸当たりの負担は大きく、またホームセキュリティで防犯強化以外にもご近所との連携で協力するなどで監視体制を強化する必要があります。
防災性について
マンションも一戸建ても、新築では震度7程度では倒壊しない強度の「耐震等級1」以上に対応することは可能ですが、それに加えて備蓄倉庫や防災訓練など行えるマンションが有利といえます。
防災対策にかかる負担費用も1戸建てと比べて抑えることが可能です。
■主な地震対策用語
耐震等級
住宅性能表示制度の耐震性を示すもので、任意の制度だがすべての新築住宅は耐震等級1以上をクリアしている
立地条件
駅近の物件はマンションのほうが建設されていることが多く、利用用途が商業地域などに指定されていることが多い傾向にあるためスーパー、商店街が作られやすい環境にあります。
立地条件が良い地域は土地市場価格も高額な為、個人で購入するには資金的に厳しいでしょう。
一方、個人でも購入が可能な土地価格といえば閑静な住宅街と呼ばれる地域である為商業施設があまりなく、駅から離れていることが多いため利便性は低下します。
ただし車で通勤できる方にとって交通的利便性はある程度改善できるでしょう。
駅近くの交通的利便性はマンションが有利で、閑静な環境で過ごしたい方は一戸建てが有利といえるでしょう。
物件価格
物件価格を比較する上でマンションと一戸建て住宅では建物の規模が違う為、構造も異なります。
マンションの場合、小規模なタイプでも建物面積が1500㎡を超える為、建築基準法上、防火区画との関連で耐火建築物を適用することが多く、一般的な構造とし鉄筋コンクリート造となっています。
一方一戸建住宅の面積は一般的に100㎡~150㎡程度なので防火区画等マンションに比べて法的縛りがない為、構造体として安価な木造が広く使用されています。
用途によって一般的に適用されている構造体は下記になります。
木造(W造)、鉄骨造(S造)→主に住宅・アパート等で使用
鉄筋コンクリート造(RC造)→主にマンション・商業ビル・施設
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)→主に高層マンション・高層ビル等で使用
政府統計ポータルサイト建築着工統計調査(2020年1月全国平均価格調査結果)より一般的に用途によって適用されている構造体をそれぞれ1m2ごとの単価を比較した結果、W造は1m2当たりの工事費17万円、RC造は1m2当たりの工事費27万円となっていました。(比較している工事費はあくまでも全国平均価格なので各地域によって金額変動があります。)
その結果を元に住居面積をシュミレーションした所、マンション3LDK75m2で2025万円、一戸建て住宅119m2で2023万円で同じ価格で建てられることがわかりました。
住居の広さとしては一戸建の方が広さはあるのでファミリー向けには良いといえるでしょう。
生活環境(防音性・通風・採光)
一戸建てはマンションより壁が薄く、開口部が多いため外部から音が入りやすいが、子どもが走り回っても下階に騒音が伝わる心配はありません。
マンションの場合は、最近からコンクリートスラブを厚くし、床仕上げの遮音性能がUPした材料を採用されていることが多くなっていることから、防音性は向上しております。
しかし、バルコニーで発生する音は窓を伝わって騒音になりやすく、一戸建てと比較すると外の音に注意する必要があります。
住居面積広さは一戸建てが有利
建物面積はマンションは(RC造)、一戸建(W造)と構造体が異なる為、面積当たりの施工単価は一戸建のほうが安価であることから居住面積が広く、有利です。
しかしマンションによっては来客時にゲストルームが使用できるなど、共用施設が充実している所もあり、住戸の広さを補える場合もあります。
マンションはワンフロアで家族の気配を感じやすい3LDKが中心が特徴。
一戸建ては、下階はLDK上階は個室などフロアを分けられ家族間のプライバシーを確保しやすい4LDKが中心です。
採光・風通しは、住戸差により窓の数が限られてるマンションに比べて窓が多く風が通りやすい一戸建てが有利です。
ただし、設計によっては隣家や道路が近く、目隠し対策が行われていない場合だとカーテンを開けられないこともあるので注意。
マンションは中高層階の上階は前が抜けて明るく窓からの見晴らしは良い。また南向き以外でも採光が取りやすいのはメリットです。
維持管理費
マンションの場合、管理費の支払は生じますが、敷地の庭いじりや掃除をやらなくて良いところは手間がかからないためメリットではあります。
しかし、規模が大きいほど駐車場から住戸までの距離が長くなり、機械式で出入庫に時間がかかる場合もありさらに駐車場料金は1万円程度発生します。
一戸建ての1階部分は虫が侵入しやすく、梅雨時期や夏等庭で発生した害虫に悩むことがしばしばありますが、駐車場に関しては家のすぐ前に停車することができる為、重い荷物の出し入れも楽です。
また設計にもよりますが2台まで駐車可能でもある。
資産価値
一戸建ての資産価値は、土地と建物で決まります。
どれだけ年数が経っても土地は劣化しないため、土地としての価値は残ります。
マンションは1住戸当たりの土地の所有割合が低いので、建物の価値で決まります。そのため、長期的な資産価値としての評価は一戸建てのほうが有利と言えます。
ただし、注意点としてマンションと一戸建てでは土地を除いた建物のみの資産価値の下がり具合が大きく異なります。
20年後の建物だけの資産価値を比較すると、マンションは新築時の60%の価値まで下がるのに対し、一戸建ては新築時の15%まで価値が低下しています。
コンクリート造と木造の違いによるものです。(国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」の結果を引用)
つまり、建物のみの資産価値で評価するなら10年~20年以内に売却する考えであれば、マンションのほうが高くなる傾向があります。
逆に50年以上経過すると建物の価値はなくなるので、土地の価値がある一戸建てのほうが資産価値が有利になります。
生涯コスト
物件を購入したら住宅ローンの返済だけで住めるわけではありません。ローンの返済以外にも、毎月・毎年発生する費用があります。
マンションと一戸建てが同じ物件価格であれば、管理費や修繕積立金、駐車代の費用がかかる マンションの方が圧倒的に不利なります。
コスト | マンション | 一戸建て |
管理費 | 約1~2万円/月 | なし |
修繕積立金 | 約1~2万円/月 | 自分で積み立てる |
駐車場代 | 毎月かかる | なし |
固定資産税 | 数十万円/年 | 数十万円/年 |
火災保険 | 約1万円/年 | 約2万円/年 |
管理費は、共有部分の手入れや敷地の掃除にかかる費用ですが、一戸建てなら自分で管理するので費用は発生しません。
仮に毎月1万円の管理費が発生する場合、50年で600万円もの差額が生じます。また車を所有している場合は、駐車代が発生するかどうかも大きな差になります。
また、建物補修のための修繕積立金ですが、一戸建てでも自分で積み立てる必要がありますが、修繕範囲を自分で調整できる所が違います。
例えば、「致命的になりそうか箇所だけ、部分的な補修だけにする」など費用を調整できるので、マンションよりも自分の生活環境に合わせた修繕が可能です。
まとめ
一戸建てのほうがランニングコストは割安でマンションのほうが安全性が良い。
築20年以内の資産価値はマンションのほうが高くなる可能性がありますが、50年以上の長期的な資産価値は土地付き一戸建てが有利になる可能性があります。
防音性なら一戸建てのほうが有利であるが、駅近等交通的利便性を望むならマンションなどそれぞれ一長一短であるため、自分のライフスタイルにはどちらが合っているのか見極めることが重要です。
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